法的背景
119番を受けたら出動義務がある
⚖️
救急業務実施基準 第15条
「救急事故が発生した旨の通報を受けたときは、直ちに所要の救急隊を出動させなければならない」
💡 119番だけで「法的救急事故か否か」を正確に判断するのは困難。万一の判断ミスが人命に関わるため、軽症でも出動するのが実情。
問題の構造
出動件数の増加 → 真に必要な人が救えない
軽症でも出動せざるを得ない
判断材料が乏しいまま出動 → 軽症判明 → 救急車が戻る
↓
救急リソースが不足
真に緊急度の高い傷病者への対応が遅れる
チームコンセプト
軽症者搬送の削減で救急リソースを最適配分
最終目標
救急医療を必要とする人が、
必要なときに救急医療を受けられる
具体的目標:軽症者への出動に着目し、オンライン診療との連携でリソースの無駄を削減する。
全体の傷病程度分類(n=434,031)
搬送の45%が「軽症」= 入院不要
軽症 45%(約197,500件)
中等症 51%
重症 4%
軽症=入院不要の傷病者が全搬送の約半数近くを占めている。これを削減できれば大きなリソース節約になる。
緊急度判定の変化(浜松市実証・総務省消防庁 2019)
119番時は「緊急」46%だが、医師が診ると「低緊急+非緊急」が48%に
119番通報時
低G 4.3%
準Y 28.8%
緊R3 20.6%
緊R2 46.1%
R1
100%
救急現場到着
低G 7.7%
準Y 38%
緊 16.9%
緑↑ 25.5%
R1 12%
100%
医師による最終判定
非緊W 6.7%
低緊G 41.5%
準緊Y 40.7%
緊R 11.1%
100%
緊急(R)
準緊急(Y)
低緊急(G)
非緊急(W)
通報時は「緊急(R)」66.7%だが、医師が診ると「低緊急+非緊急」が48.2%に達する。通報段階での過剰評価が大きく、事前の緊急度判定で搬送を回避できる余地がある。
試算の前提
「非緊急」または「低緊急」と判定された件数を推定
| カテゴリ | 割合 | 推定件数 |
| 医師診断:非緊急(W) | 6.7% | 6,712件 |
| 医師診断:非緊急+低緊急 | 48.2% | 48,287件 |
出動費用は1件あたり45,000円で試算。現場・病院到着時間は50万件データの平均値より算出。
削減シミュレーション
非緊急のみ削減でも3億円超、非+低緊急なら21億円超
| シナリオ | 削減件数 | 出動費用削減 | 現場到着時間 | 病院到着時間 |
| 非緊急のみ |
6,712件 |
3.0億円 |
約38日 |
約149日 |
| 非+低緊急 |
48,287件 |
21.7億円 |
約275日 |
約1,073日 |
低緊急まで含めた介入で年間21億円超の費用削減と、救急隊員の現場稼働275日分の解放が見込める。
旭川市の取り組み(ファストドクター株式会社との連携)
119番受付と同時にオンライン診療を並行実施 → Uターン率44.3%
119番
通報
→
救急隊
出動
+
📱 オンライン
診療を並行実施
→
✅ 解決 → Uターン
🚨 緊急 → そのまま搬送
コロナ患者からの通報限定の実証だが、44.3%のUターンという明確な効果。オンライン診療による緊急度の早期判定が搬送削減に直結することが実証された。
適用の前提条件
視覚情報から非緊急性を判断できるか
🎥
ビデオ通話による症状確認
旭川市の実証ではビデオ通話で患者の状態を医師が確認。外傷・外科系は特に視覚的に判断しやすい。
⚖️
法的ハードル:出動義務との整合
119番受付後に「並行してオンライン診療」を行う形式により、出動義務を満たしつつ効率化が可能。
🏙️
コロナ禍特有 → 汎用化が次の課題
旭川市の実証はコロナ患者限定。外科系軽症など他のケースへの拡張が本提案の焦点。
軽症者の疾病分類 vs 全体(χ²検定)
軽症者は外科系の割合が有意に高い(p<.001)
軽症者の主要疾病
カイ二乗検定でp<.001 → 軽症者に占める外科系の割合は統計的に高い。外科系は視覚的に判断しやすくオンライン診療との親和性が高い。
外科系軽症 × 旭川モデル(44.3%Uターン)
外科系軽症52,831件に適用すると 23,404件削減
| 効果指標 | 数値 |
| 出動費用削減 | 5.27億円 ※費用を通常の半額22,500円で試算 |
| 現場到着時間(解放) | 約133日分 |
| 病院到着時間(解放) | 約520日分 |
外科系軽症だけに限定しても年5億円超・救急隊員133日分のリソース解放が見込める。
外科系軽症の内容(詳細データ取得が次課題)
オンラインで対応しやすい症状が多数含まれる
✂️ 切り傷・擦り傷
🦵 軽度打撲
🦶 捻挫
🐝 虫刺され
🔥 軽度やけど
📋 今後取得したいデータ:外科系軽症の詳細区分(病名・症状コード)。これにより「オンライン対応可能な件数」をより精緻に推計できる。
🎯 知りたい情報:視覚的情報から非緊急性をどの程度判断できるか → 実際に削減できる件数の具体的数値化。